第122章

清宮紬は、男の大きな背中が埃まみれの通信室へと入っていくのを見送った。

ガラス越しに、榊原冬真が古びた黒の衛星電話を取り上げ、複雑そうな番号を淀みなく打ち込むのが見える。

冷えた横顔。眉間には、怒らずとも人を従わせる圧が宿っていた。

何を話しているかまでは聞こえない。けれど清宮紬にはわかった。――いまの榊原冬真こそが、榊原家を束ねる者の顔だ。

五分も経たないうちに、冬真は受話器を戻して出てきた。

「繋がった」

彼は紬のところへ戻ると、当然のように抱き寄せ直す。

「榊原家の筋を使って、直接大使館に当たった」

清宮紬は意外そうに眉を上げる。

「大使館?」

「そう」冬真は彼女の...

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