第130章

清宮紬は、湯呑みを持つ手をわずかに止めた。

小川月奈がつい先ほど現地調査から戻ったばかりだというのに、榊原冬真はもう会社名まで把握している。

「芸能界だけじゃないわ」清宮紬は彼の目をまっすぐ見返し、あっさりと認めた。「岩崎家が倒れて、市場には大きな空白ができた。そこに食い込んで、文化メディア領域に入る。第一段階は音楽と著作権の運用から始めるつもり」

榊原冬真はお茶をひと口含み、静かに湯呑みを置いた。

身体を少し前へ傾け、長い指で紫檀の天板を、軽く――しかし確かに――とん、とん、と叩く。

「従来型の音楽版権とタレントマネジメントだけじゃ、回収が遅い。期間が長すぎる」榊原冬真の眼が鋭く...

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