第138章

清宮紬は眉をわずかにひそめた。

穂昼メディアが看板を掲げて間もない。――その縄張りで、誰が好き勝手をやっている?

ヒールを鳴らし、大股で配信ブースへ向かう。

防音扉を押し開けた瞬間、空気がぴんと張り詰めた。

ふくよかな中年男が、目の前の青年を指さして怒鳴り散らしている。

業界で名の知れた仲介人――井上健。

そして、鼻先を突きつけられて罵られている青年は、まさかの吉川一紀だった。

吉川一紀は、まだ着替えも済ませていない白衣姿のまま。

凛とした眉、澄んだ眼差し。高い鼻梁。近寄りがたいほどの清冽さに、どこか壊れそうな脆さが混じる。

二年前、『剣の歌』で準主役に抜擢されて一気に跳ね...

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