第16章

清宮紬はゆっくりと振り返り、焦りも見せずに清宮瑠奈のほうへ歩いていった。

「な、なにする気……?」

清宮瑠奈はぞくりと身を震わせ、後ずさる。だが、想像していた衝突は起きなかった。清宮紬は彼女など視界に入っていないかのように、部屋の扉の前で足を止め、考え込むように小さく頷く。

「この扉も替えどきだね。防音が甘すぎる。ハエの鳴き声まで、いちいち聞こえる」

清宮瑠奈はかっと頬を赤くしたが、すぐに怒りを引っ込めた。

「お姉ちゃん。うち、外の人なんていないよ。この部屋の前を通るの、私かパパとママしかいないし」

「まさか、それって……『ハエ』って――」

わざと「ハエ」を言い切らず、清宮紬の...

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