第19章

主任の顔色が、さっと変わった。

「唐沢星也! これが貴様の言う名家か。どけ!」

そう怒鳴るなり、主任はベッド脇にいた唐沢星也と清宮紬を乱暴に押しのけた。

だが見れば、清宮紬に面と向かって言い返された鬱憤を晴らしたいだけだ。肝心の処置など、何ひとつ考えていない。

ぶわっと血の泡が宙に散り、白衣はみるみるうす桃色に染まっていった。

それを見て唐沢星也も、さすがに顔が強張る。恐る恐る隣の清宮紬を盗み見た。

視線に気づいても、清宮紬は取り合わない。表情ひとつ変えず、淡々と数を数え始める。

「三、二、一」

言い終えた、その瞬間。

榊原成岡の激しい痙攣が、嘘のように鎮まっていった。顔に...

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