第31章

榊原冬真の周囲の空気が、ふっと跳ね上がった。部屋の中に、かすかな冷気が滲む。

近藤さんは全身の毛が逆立つのを感じ、脚が勝手にガクガク震えだす。――だが、恐怖よりも大きいのは疑問だった。

目の前のこの泥酔した女が、本当にボスなのか? 普段の、誰も寄せつけないあのボスなのか?

いや、ありえない。

前に彼女と見合いをした男は、頭をぽんと触れただけで、危うく手を丸ごと置いていくところだったのだ。

そんな女が、他人に抱き寄せられるのを許すはずがない。

実際、ついさっき――清宮瑠奈たちが下で騒いでいる間に、二人はすでに食事を終えていた。

少し休んだあと、清宮紬は手首の時計に視線を落とす。

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