第45章

榊原成岡はすぐには答えなかった。代わりに、傍らの執事・松井がいつもの柔和な物腰をかなぐり捨て、鋭い声で叱りつける。

「清宮瑠奈? この前、大旦那様のお見舞いだとか言って、ロクでもない食い物を山ほど持ち込んできた小娘でしょう」

「前の件は、大旦那様が『当時は榊原様の婚約者だった』ってことで大目に見てやっただけです。なのに、よくもまたノコノコと……追い返してください。今すぐ」

言い終える前に、榊原成岡が松井の肩をぽん、と叩いた。黙れ、という合図。

「相手は清宮家の人間だ。それに紬の妹でもある。拗れすぎるのは良くない」

「……入れてやれ」

使用人が返事をして外へ出る。ほどなくして、淡い...

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