第57章

清宮紬は黙り込んだまま、けれど身体だけは小さく抵抗するように身じろぎした。

「……車の中?」

「ダメ。ちょっとでも寄ったら、運転手の目は前をちゃんと見てくれなくなる」

「じゃあ……家?」

「榊原さんの血圧、これ以上上げたいの?」

「このまま関係をはっきりさせなかったら、そっちのほうが本当に上がるよ。どっちもダメなら、君が許す場所なんて思いつかない」

清宮紬はなおも背を反らし、距離を取ろうとする。

「……誰もいなければ、それでいい」

「俺たち二人だけだ」

榊原冬真は腕をほどいた。求めていた答えが返ってきた、という顔で。

ほどなく二人は、巨大な観覧車の足元で足を止めた。清宮紬...

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