第59章

五分ほどして、二人は工場奥の作業室に辿り着いた。

清宮紬が中へ入ろうとした瞬間、小川がすっと前に出て道を塞ぐ。

「清宮社長、ここは権限が高すぎます。通すにはパスワード入力が必要なんで……俺は外で待ってます」

「わかった」

紬が小川を連れてきたのは、万が一に備えるためだった。だが中の状況がまだ見えない以上、清宮尚大に関する自分の推測を、いま全部打ち明けるわけにもいかない。

小川が自分から引き返してくれたのは、むしろ助かった。

深夜だ。常識的に考えれば作業室は無人のはず。

それなのに、扉の向こうからは、明滅する灯りが漏れている。ぼそぼそとした会話まで、途切れ途切れに聞こえた。

紬...

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