第7章

目の前に差し出された大きな手と、手首で鈍く光る限定モデルのロレックスを見て、清宮紬は思わず息をのんだ。

数秒の間を置いて、二人の手が重なる。

「清宮紬さん」

榊原冬真は口元をひくつかせ、どうにか善意の表情を作ろうとしているようだった。

「つまり……父の容体は、もう……」

清宮紬は強く握られていた右手をすっと引き抜き、背を向けて部屋の扉に手をかける。

「それは、この部屋がいつ電気を取り戻すか次第ですね」

「その件は、鈴木主任にお聞きになるといいでしょう」

そう言い残し、扉はまた閉まった。榊原冬真は、宙に残った自分の右手を見下ろしたまま動かない。

名指しされた鈴木主任は、冷や汗...

ログインして続きを読む