第9章

そう言うや、美坂莉央は清宮誠太郎の腕の中からぱっと身をほどき、いかにも、という顔でスカートの裾をぱんぱんと払った。

横で清宮誠太郎は、見るからに不満そうだ。

「若い頃はさ、顔でお前を落としたんだぞ? そこまで嫌がるか?」

すると美坂莉央は、何かを思い出したみたいに目を細め、神秘的な顔で清宮紬の耳元へ身を寄せた。

「ねえ紬。将来相手を選ぶとき、見た目だけはダメよ。男の見頃なんて、ほんと短いんだから」

「あなたのパパ、若い頃は貧乏すぎてご飯も食べられなくてね。必死に耐えたら腹筋が割れたのよ、六つに」

「で、暮らしが良くなったらどう? お腹が日に日に育って、知らない人が見たら妊娠したっ...

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