第6章

乃愛視点

 魂が抜け落ちたかのように、極限まで卑屈になった彼の姿を見下ろしても、私の心にはさざ波一つ立たなかった。ただ、高みから見下ろすような冷酷さがあるだけだ。

「桐生さん、初めまして。ノア・テクノロジーの開発責任者、芳村乃愛です」

 私は立ち上がり、ビジネスライクな笑みを浮かべて右手を差し出した。

 志朗はその手を取ろうとはしなかった。突然こちらへ飛びかかり、私の両肩を死に物狂いで掴んできたのだ。骨が砕けそうなほどに強い力で。

「生きてたんだ! 君が生きてるって、俺には分かってた!」

 彼の目から堰を切ったように涙があふれ出し、無様な姿で私の足元に崩れ落ちた。

「ごめん……...

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