62話

サラ

トムの車に近づくにつれ、憂鬱の波が私を包み込んだ。夜は魔法のようだったが、現実が少しずつ忍び寄ってきていた。この時間が終わってほしくなかった。

車に乗り込むと、心地よい沈黙が私たちの間に流れた。トムが運転する横顔を、私はつい盗み見してしまう。彼の力強い顎のライン、ハンドルを握る手—ああ、あの手。あの手が何をしてくれるか、私はあまりにもよく覚えていた。

「何を考えてるの?」トムの声が私の夢想を破った。

見つめていたことがバレて、頬が熱くなるのを感じた。「ああ、その、ただ...アイスクリームのこと考えてただけ」と、私はお粗末な嘘をついた。

「ふーん」彼は明らかに信じていない...

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