第1章

床から天井まである窓から差し込む午後の陽射しは、肌に暖かく感じられるはずだった。けれど、星見ホテルのマンションに座る私の肌を撫でるのは、このところどこまでもついてくる、あの慣れ親しんだ冷気だけだった。

革張りのソファに身を丸め、リモコンを手に、意味もなくチャンネルを切り替えていると、ふと芸能ニュースが目に留まった。

がらんとしたリビングに、アナウンサーの声が響き渡る。

「黒石春子さんが第二子を出産、夫の黒石亮さんからは出産祝いとして五千万円の超高級時計が贈られたとのことです。この北都芸能界のパワーカップルは、三年前に黒石亮さんの長男である健太くんを亡くした悲劇から立ち直りつつも、その帝国を築き続けています……」

画面には、黒いレクサスから降り立つ黒石春子の姿が映し出された。ドレスに身を包み、輝くようなその笑顔は、かつて彼女が私の下で働いていた頃と変わらない。

彼女の腰に添えられた黒石亮の庇うような手。まるで彼女が世界のすべてだとでも言いたげな、その眼差し。

健太。黒石亮のたった一人の息子。黒石芸能王朝の跡継ぎ。婚約パーティーで溺死した時、まだ八歳だった。

私はテレビを消し、何も映らない画面を睨みつけた。三年。三年経っても、まだあの悪夢から逃れられない。

スマホが震えた。トレーナーから、明日のセッションの備忘通知だ。ピラティスどころではなかった。頭の中は、この家がいかに空っぽか、そして私がまるで幽霊のように、だだっ広い家の中を一人でうろつくだけの日々を過ごしているか、そればかりだった。

林田祐二は、またレコーディングスタジオに籠っているのだろう。今月彼のお眼鏡にかなった新人アーティストの仕事でもしているのか。いや、もっとありそうなのは、黒石春子と電話していることだ。彼女の名前が出ると、彼はいつも夢見るような顔つきになる。

黒石春子の新たな事業戦略がニュースの見出しを飾るたびに、彼は決まってこう言った。

「彼女は本当に素晴らしい」

「美しくて、賢い。黒石亮は幸運な男だよ」

幸運すぎるにもほどがあるわ。

子供が欲しかった。神様、お願い。時々、体が痛むほど欲しかった。医者の診断は明確だった。健太の死の後で受けた暴力のせいで、私は子供を産めない体になってしまった。でも、養子縁組のことを口にするたび、林田祐二はどこか遠くを見るような目つきになった。

「もうすぐだよ、紗代。会社のことが落ち着いたら。業界的に、今はタイミングが良くないって春子も言ってる」

春子が言ってる。うちのすべては、あの春子が何を言ったかで回っている。

私は黒石亮の婚約者だった。結婚式の計画を立てている最中に、健太は私たちの婚約パーティーで死んだ。三百人もの招待客が、あの小さな男の子が溺れるのを見ていた。その間、私は中で口紅を直していた。

「花嫁はどこにいた？」見出しはそう叫んでいた。「未来の母親たるものが、どうして子供にあれほど無頓着でいられたのか？」

世間の目は公開処刑のように容赦なかった。亮の一人息子であり、跡継ぎであり、彼の誇りのすべてだった子が、私が化粧直しをしていたわずかな時間に命を落とした。黒石家の悲劇は、何ヶ月もの間、新聞の一面から消えることがなかった。

でも、黒石春子は？彼女はヒーローだった。

「アシスタント、命懸けで子供を救う」

新聞には、ずぶ濡れになりながら健太に心肺蘇生を施し、動かなくなった彼の体にすがって泣きじゃくる彼女の写真が掲載されていた。

半年もしないうちに、彼女はもう黒石亮の喪失ケア専門家ではなくなっていた。彼の妻になっていたのだ。

一人きりのキッチンは、やけに広く感じられた。真里亜はもう帰った後で、静寂が身にこたえる。私はエスプレッソマシンのスイッチを入れた。きっとほとんどの人の家賃より高いであろう、馬鹿げた値段のイタリア製の代物だ。

コーヒーが抽出される間、黒い御影石に映る自分の姿が目に入った。三年の手術、三年の療養。それでも時々、私はまだ、一夜にしてすべてを失ったあの壊れた少女のままのような気がした。

私はコーヒーを林田祐二の幸運のマグカップに注いだ。私たちのデザイナー物のガラクタに囲まれると安っぽく見える、ただの白い代物。大学時代から持っていて、もっと質素だった頃を思い出させてくれるのだと言う。――黒石春子のことを。

二人は芸術大学の同級生だった。彼は当時から彼女に夢中だったが、彼女の野心は、売れない音楽プロデューサーに収まるようなものではなかった。

「春子は昔から大物になる運命だったんだ」ある時、彼は酔って懐かしむようにそう言った。「いずれ黒石亮みたいな男と一緒になるだろうって、わかってたよ」

黒石亮みたいな男。彼みたいな男じゃなくて。

レコーディングスタジオへ向かう途中、話し声が聞こえてきた。ドアが少しだけ開いている――石良誠が来たばかりで、まだちゃんと閉めていなかったのかもしれない。林田祐二は普段、音質には異常なほどこだわるのに。

何か大事な話の邪魔をしたくなくて、私は歩みを緩めた。だが、近づくにつれて聞こえてきた言葉に、血の気が引いた。

「林田さん、まだ健太の件が気になります。もし黒石家がまた掘り返し始めたら？あの家族には金も力も……」

林田祐二の声は、冷たく突き放すようだった。「あり得ない。もう終わった話だ。紗代が罪を被り、春子は欲しいものを手に入れた。綺麗さっぱりだ」

「ですが、今や紗代さんは奥さんですし、彼女がその後経験したこと――暴行、脅迫、その後のすべてを考えると……」

「彼女は今、贅沢な暮らしをしている」林田祐二は苛立たしげに言葉を遮った。「専用車、専属シェフ、使い放題のクレジットカード、この家。春子の幸せのためには、多少の犠牲は必要なんだ」

春子の幸せ。私たちの、じゃない。彼女の。

力の抜けた指からマグカップが滑り落ち、銃声のような音を立てて大理石の上で砕け散った。熱いコーヒーが足首に飛び散ったが、痛みは感じなかった。動けない。息もできない。

三年。この男が私を救ってくれたのだと信じてきた、クソみたいな三年間。感謝し、私のヒーローに相応しい完璧な妻になろうと努力してきた三年間。

そして黒石春子。私が子供を産めないと告げられた時、病院で私の手を握ってくれた、優しい黒石春子。両親の葬儀で、一緒に泣いてくれた黒石春子。

全部、嘘っぱちだった。一瞬たりとも、本物なんてなかった。

壁に背中を押し付ける。心臓が激しく脈打ち、気を失いそうだった。手が震える。体中が震えている。

私が知っていると思っていたすべてが、嘘だった。

無理やり体を動かし、割れた陶器の破片を避けて歩く。足がもつれて倒れそうだったが、どうにか寝室までたどり着いた。

ベッドに腰掛け、自分の手を見つめる。震えが止まらない。

二十分後、廊下に足音がした。私はクローゼットから適当に服を掴み出し、林田祐二が入ってきた時、整理しているふりをした。

「やあ、綺麗だね」あの温かく、心配そうな声。三年間、私の耳元で囁かれ続けた声。「少し顔色が悪いよ。今日のヨガ、きつかった？」

私は彼の方を向いた。彼の顔を、まじまじと見つめる――かつて私を蕩けさせた、あの心配そうな表情。このうち、どれだけが演技なのだろう？

「疲れただけ」私はなんとか微笑んでみせた。「コーヒーを持って行こうと思ったんだけど、ちょっと他のことしてて」

彼は私を近くに引き寄せた。かつては安全だと感じた彼の腕が、今は檻のように感じられる。

「最近、ストレスが溜まってるみたいだね」彼は私の髪に顔をうずめて言った。「明日、君のご両親のお墓参りに行って、週末は湘東で過ごさないか？海が好きだろう」

私の両親。彼の計画が殺した両親。

「素敵ね」私は嘘をついた。声は、どういうわけか落ち着いていた。「すごく嬉しい」

彼は私の額にキスをした。彼を突き飛ばせと、本能のすべてが叫んでいた。

「少し休んで。仕事を片付けてすぐ戻るから」

彼が去った後、私はベッドに横たわり、天井を見つめていた。何時間も経った。隣で彼の規則正しい寝息が聞こえ始めた時、時計は午前二時四十七分を指していた。

両親の殺人犯の隣で眠ること三年。すべてを破壊した男に感謝し続けてきた三年。

彼は本当に私を愛したことがあったのだろうか？それとも、これはすべて罪悪感からくる慰謝料？何か歪んだゲーム？

黒石春子のことを考えた。きっと今頃、黒石亮と子供たちと一緒に、安らかに眠っているのだろう。本来なら私のものだったはずの人生。毎朝私に微笑みかけながら、自分が何をしたか正確に知っていたアシスタント。

暗闇の中、林田祐二の顔をじっと見つめる。彼はとても安らかで、無垢に見えた。

だが、彼は黒石春子のために道を開くべく、私の失墜を画策したのだ。彼女が望む人生、彼女が渇望した家族を与えるために。その考えに、胃がむかついた。

すべてを突き止めなければならない。すべての嘘、すべての策略、この三年間の一瞬一瞬を。

感謝する被害者でいるのは、もう終わりだ。

まったく別の何かに、なる時が来たのだ。