第5章

また、眠れなかった。

午前九時。私は自宅のソファにだらしなく寝転がり、手にしたアイパッドでSNSを目的もなくスクロールしていた。他に何をしろと言うのだろう? 林田祐二は私が目を覚ますより前に「会議」だと家を出てしまい、室内は水を打ったように静かだった。

その時、黒石春子の投稿が目に飛び込んできた。

とんでもないものだった。

彼女はまるでダイヤモンドの海にでも溺れているかのように、高級ブランドのウィンターコレクションの半分はあろうかというほどの宝石を身につけてポーズを取っていた。キャプションにはこうある。「亮からの最新のサプライズ! 私たちの帝国を一緒に築き上げてる!」

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