第23章 拒否してもいい

真田辰則は深く、まっすぐな視線を向けてきた。しばし沈黙し、立ち上がるとそのまま部屋を出ていく。

相馬蛍はリビングから、コルク抜きのきりきりと回る音を聞いた。ほどなくして男が戻ってくる。片手にデキャンタ、もう片手にグラスを二つ。

「ワイン?」

彼女はベッドから降り、テーブルを挟んだ向かいの小さなソファに腰を下ろして笑った。

「まさか、あのルーミエのミュジニーじゃないよね?」

入ってきたときに見えていた。年間四百本ほどしか出ない、値段は七桁――そんな代物。

本当は自分で開けて飲みたかった。けれど、その金額をあとで自分に付けられたらたまらない。だから手を出さなかった。

「そうだ。好き...

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