第25章 真田社長の好みが変わった

相馬蛍が口を開くより早く、真田辰則は彼女の手をさらに強く握り込んだ。まるで掌の熱で溶かしてしまうみたいに。

そのくせ、口にするのは脅しだった。

「断るとか考えるなよ。俺の機嫌を損ねたら、あとでお前にも『断られる側』の味を教えてやる」

「……?!」

真田社長って、こんなに器が小さかったっけ。

たった一日で主導権を握られたのが悔しい。けれど、碧海のサプライ案件だけは、相馬蛍としても簡単に手放せない。

HJグループの部長は高齢で、近いうちに退職する。副部長である自分が、来年には後任に座る可能性が高いのだ。

そうなれば年俸も配当も、文字どおり桁が変わる。この程度の苦労なら、飲み込める。...

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