第31章 俺と比べて、どっちの手触りがいいか

「この……恥知らず! 下品っ!」

相馬蛍がいきなり飛びかかり、真田辰則の首筋にがぶりと噛みついた。

真田辰則はまさかそんなことをされるとは思っていなかったのか、一瞬だけ目を瞬かせた。だが怒りもしない。ほんのわずかな痛みをこらえ、身じろぎひとつせず、彼女の八つ当たりを受け止めた。

彼の目には、女は尻尾を踏まれた猫みたいで――可愛くて仕方がない。

蛍は噛み終えても気が済まず、殺傷力ゼロの小さな拳で男の胸をぽかぽかと叩く。何度も、何度も。

怒っているはずなのに、どこか甘えた仕草に見えてしまうのが腹立たしい。

やがて彼女が疲れて手を止めたところで、真田辰則がその手を取り、自分の胸元に押し...

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