第37章 相馬蛍は真田社長に不満がある

「そりゃ、似てるわけないだろ」

澄んだ男の声が落ちた。

相馬蛍が振り向く間もなく、近藤正はもう隣まで来ていた。軽く身を屈めると、腰まで垂れた大きなウェーブの一房を指で引っかけ、くるくると弄ぶ。――以前から、彼が好んでやる癖だ。

けれど相馬蛍は、それがたまらなく嫌だった。

「近藤正、あんたまで面白がって来たの?」

相馬蛍は笑ってみせ、彼の指から自分の髪をするりと引き抜く。

近藤正は悪びれもせず、彼女の横に腰を下ろした。しかも同じ椅子に、ぐい、と。

男の大きな体が迫ってきて、息が詰まるほど窮屈だ。相馬蛍はさっと立ち上がり、伊原帝の隣の空席へ移った。

「伊原社長。お隣、座ってもよろ...

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