第43章 刻まれた痕跡

真田辰則の広い背中は筋肉が引き締まり、熱を帯びていた。二人の服越しにその体温が伝わってきて、相馬蛍はぬくぬくとした熱の中に包まれているような気分になる。

頭上にはあたたかな陽射し。彼の背に頬を預けていると、すぐに眠気が差してきた。

うつらうつらする意識の底で、遠くから近づいてくるギターの弾き語りが聞こえる。続いて、男の背中越しに声が落ちてきた。

「前に東屋がある。降りて、少し歩くか?」

「ん……いい……」

相馬蛍は目を細めたまま、もごもごと返す。彼に届いたかどうかは分からない。

近づいてくる流行歌。びゅうっと吹き抜ける潮風。左右から交差するように耳元をくすぐっていく。

彼女は細...

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