第50章 温かいほど、絶望するほど

朝の艶やかな陽射しはもうない。雲が幾重にも重なり、遠くで鈍い雷鳴がくぐもって響く。まるで世界の終わりが近づいてくるみたいだった。

雨は降りそうで降らない。息が詰まるほど蒸し暑い空気の中、車は繁華街を離れていく。道幅は次第に細くなり、両脇の街路樹が強風に引きずられるように大きく揺れた。

相馬蛍の気持ちも、じわじわ沈んでいく。

ふいに思い出す。十五歳、晩秋。誕生日の夕方――あの日も、こんな空だった。

母は朝、出かける前に言ったのだ。

撮影が終わったら戻ってきて、一緒にろうそくを吹き消して、ケーキを切ろうね、と。

蛍は胸を弾ませ、部屋の小さな窓辺で、午後いっぱい絵を描いた。真昼の眩しい...

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