第72章 意識して避けるほど、なおさら無視できない

同時刻。

商業施設の三階、下りエスカレーター。スーツ姿の男が二人、肩を並べて降りていく。

片方は端正で隙がなく、もう片方は手すりにもたれてだらしない。

その背後には、呼びつけられた支配人が付き従っていた。

真田辰則が気だるげに尋ねる。

「普段から、こんなに人が少ないのか?」

エスカレーターを降りると、支配人は腰を折った。

「オープン直後の勢いは落ち着きましたので……どうしても以前よりは」

近藤正が大きくあくびを噛み殺し、投げやりに言う。

「このフロア、ハイブランドばっかだろ。人が少ないのが普通だって」

真田辰則が横目で見る。

その、熱も冷たさもない視線に触れた瞬間、近藤...

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