第83章 真田辰則は「ダメ」だ

真田辰則の崖際のオーシャンビュー別荘は、真田本家からそう遠くない。あと十分もかからず着く――そう思った矢先、スマホがぶるぶると震えた。

相馬蛍が画面を見る。江口霊からのLINEだ。

「バッグに入れといたやつ、見た?」

ソファに置いてあったトートのことだろう。

蛍は打ち返す。

「何を入れたの?」

出るときは小さなバッグしか持っていなかったから、今すぐ確認できない。なのに、気になって仕方がない。

江口霊はボイスメッセージを送ってきた。蛍は深く考えず耳に当てて再生――したつもりが、なぜかスピーカーになっていた。

「面白いオモチャだよ。新品だから安心して使ってね。えへへ~」

江口霊...

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