第92章 それは別料金です

「こういうの、好きなのか?」

真田辰則はベッドのヘッドボードにもたれ、くすりと笑った。

床まで届く窓を越えて月光が差し込み、金色の手錠がひやりとした光を返す。

相馬蛍は平静を装って歩み寄ると、彼が指先で弄んでいた金の手錠をひったくるように奪い、背を向けたままベッドの縁に腰を下ろした。俯いた横顔は、どうにも浮かない。

ほどなくして、真田辰則の腕が背後から彼女の腰を囲い、温かな胸板がぴたりと背中に重なる。

「まだ機嫌悪いのか?」

囁くような声。

「別に」

相馬蛍は引き出しを開け、手錠をさっと放り込む。

そして不意に、思い切ったように問いを投げた。

「ねえ。あんた、昔わざとあん...

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