第96章 クソ親父の懐はどんなもの?

到着まで、ほぼ三時間。南波市に降り立った。

「……まさか、ずっとついてくるつもり?」

相馬蛍は機内で少し眠ったばかりで、声に妙なやわらかさが残っていた。

棘のない、ふわりとしたやわらかさ。

真田辰則はその声を聞いた途端、目を細める。昨夜、腕の中で力なく抵抗していたやわらかな身体まで、脳裏に蘇ってくる。

相馬蛍には彼の考えが読めない。けれど、深い瞳の色に危うい気配だけは見えた。次の瞬間、この場で押し倒されてもおかしくない――そんな。

反射的に顔を強張らせた、その時。

肩をぐい、と抱き寄せられた。真田辰則は一言の確認もなく、強引に彼女を車へ押し込む。

「黒木礼が車を手配してくれて...

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