第10章

村木奥様の容赦ない顔つきを見て、宮原ミナミの瞳に、ぞくりと意地の悪い光が走った。

口を開こうとした、その瞬間。

鋭い男の声が、場の空気を真っ二つに裂いた。

「坂村家ともあろうものが、宴ひとつ満足に仕切れないのか。そんな程度なら、さっさと破産申請でもしたらどうだ」

言い終えるや否や、すらりと背の高い男が人波の向こうから姿を現す。広い肩とまっすぐな背筋。高価なオーダースーツですら、ただの添え物に見えるほどの存在感だった。

近づくほどに、圧が増していく。

女なら思わず惹き寄せられそうな整った顔立ち。だが、眉間から滲む冷気が、軽々しく近づくことを許さない。通った鼻梁、研ぎ澄まされた顎のラ...

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