第100章

「翠嶺荘へ」

宮原ミナミは荷物を提げ、車の後部座席から運転手に告げた。

「翠嶺荘までお願いします」

M市の夏はとにかく暑い。昨日、ほんの少し外を歩いただけで津坂幸音は音を上げた。けれど幸音は、宮原ミナミと離れてK市へ戻るのがどうしても嫌らしく、津坂崇介は彼女を連れて避暑の山荘へ遊びに来たのだった。

滞在は四、五日になるかもしれない。ミナミが用意したのは、小さめのスーツケースひとつ。

一時間半後、車は翠嶺荘に到着した。

太陽は周囲の景色を白く塗りつぶすほど眩しく、目を細めずにはいられない。

木陰のデッキチェアで氷菓を食べていた幸音は、ミナミの姿を見つけるなり、アイスを手にしたまま、...

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