第104章

本当にそうなら、津坂崇介が彼女を送らないはずがない。

それにさっきだって、あの二人の間には恋人同士の、あのベタベタした空気がまるでなかった。

――絶対、嘘だ。まだ、私にはチャンスがある。

宮原ミナミは動きをふっと止め、車内に身を滑り込ませると、窓を下ろして指をくいっと曲げた。近くへ来い、という合図。

古川フニは主導権を握られるのが癪だったが、好奇心には勝てない。しばし逡巡した末、結局、身をかがめて耳を寄せた。

「当ててみて」

宮原ミナミの瞳に、いたずらっぽい光が走る。

言っているようで、何も言っていない。

古川フニはからかわれたと悟り、むっとした顔で睨みつけた。

「――これ、...

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