第115章

男の額に、冷や汗が一気に噴き出した。

まずい。病院の看護師に顔を覚えられている……!

「えっと、俺は羽岡先生のところの研修医で……羽岡先生が退勤前に指示票を回してくれて。時間を見て、追加の点滴に来ました」

男は、あらかじめ用意していた言い訳を淀みなく並べる。

来る前に、村木勘也の主治医が誰か調べておいて正解だった。でなければ、今ごろ詰んでいた。

看護師は眉をひそめた。羽岡の下に研修医が何人かいるのは知っている。だが研修医が病室に入って薬を足すなら、本来は担当医の立ち会いが必要だ。

羽岡はこの病院でも有名な慎重派だ。そんな雑なことをするはずがない。

違和感が胸に引っかかる。看護師は...

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