第127章

木田平人は「病院では騒がないでください」と言って記者たちをすべて外へ誘導し、主戦場を宮原ミナミに譲った。

宮原ミナミは井村明人の背後に立ち、病床で蝋のように黄ばんだ顔をした、もはや末期の井村秋子を見つめる。

井村明人が手を伸ばし、井村秋子の顔から酸素マスクを外そうとした、その瞬間だった。宮原ミナミがようやく口を開く。

「酸素マスクは外しちゃだめ」

井村秋子は呼吸不全だ。いまは人工呼吸器に頼って、かろうじて呼吸が回っている。ここで外せば酸素が足りなくなる。本来ならあと二、三日は持つはずの命が、その場で途切れかねない。

井村明人の動きが止まる。この状況で追い払う気力もなく、掠れた声で言...

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