第152章

数分後、宮原ミナミは、坂村友美が背中を丸め、ひどく苦しそうにスーツケースを引きずりながら出てくるのを見た。

その傍らには、ふくよかな中年の女が張りついている。女はせかせかと友美を急かし、「家には弟がいるんだから、早くしなさい。世話する人がいないでしょ」と、何度も同じことを言った。

――弟の世話?

ミナミの胸に、素朴な疑問が浮かぶ。ネットの特定班が掘り起こした情報では、坂村友美の弟は今年十七歳。十七歳といえば、もう立派な男だ。半日家を空けた程度で「世話が必要」だなんて、どういうことだろう。

障害でもあるのか。それとも、生活が成り立たないほど自立できないのか。

しかも、その女は周囲の視...

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