第154章

「ちょ、ちょっと! なんで人を殴るのよ!」

女が一人、群れの中から進み出た。宮原ミナミを糾弾するように睨みつけ、指を突きつけて正義面で言い放つ。

「早く放しなさいよ。じゃないと通報――」

そこまでだった。

津坂崇介が冷えきった視線を向けた瞬間、女の声は喉の奥で凍りつき、続きの言葉は一音も出てこない。

崇介は周囲など最初から眼中にない。まっすぐ男の前へ歩み寄ると、その長身が男をすっぽり覆い隠し、場の空気ごと押し潰すような圧を放った。

片手でカメラを持ち上げ、低い声で問う。

「お前、誰の手先だ。盗撮した写真、誰に送った?」

盗撮――。

その一言で、男が何者か、全員が理解した。さ...

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