第162章

「……通ったのか?」

助手はあわててスマホをポケットに突っ込み、後を追った。

三人は案内係の背中についていき、水面から数センチだけ頭を出した青石の小径を渡る。両脇の池には睡蓮が咲き誇り、赤や黄金色の錦鯉が花のあいだをすい、と泳ぎ抜けていった。

そよ風が水面を撫で、ほのかな香りが糸のように漂う。胸の奥まで澄んでいくようで、思わず息が深くなる。

遠くには人工の岩山がいくつも連なり、泉の水音がちろちろと響く。反り上がった屋根の軒先が、濃い緑の葉の隙間からちらり、ちらりと覗いていた。

あまりの景色に助手は目を奪われ、つい気が緩んだのだろう。木田平人の踵を踏み抜いてしまう。しかもヒールが外れ...

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