第163章

生来落ち着きのない性分で、兄貴はいつだって泰然自若。自分が何かやらかせば、兄貴から「愛の鉄拳」をたっぷりもらうのが常だった。

だが今の兄貴は、あまりにも弱っている。どれだけ問題を起こしたところで、起き上がって殴ってくることなど――もう、できない。

そう思った瞬間、白石成俊の目元がそっと熱くなった。

室内では、宮原ミナミがようやく診察を終え、脇に腰を下ろして処方を書き始めていた。

今回は前と違う。処方箋に目を落としながら、何度も白石成俊の状態を確認し、書いては直し、直してはまた見直す。気づけば一時間。

紙面は書き込みだらけで、A4用紙が何枚も重なっていた。

日が沈みきる頃、彼女はよ...

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