第166章

白石翁の中医学界での評判は折り紙つきだ。あそこまで白石家の名誉を持ち出した以上、処方を漏らすはずがない。そう判断した木田平人は、宮原ミナミに小さくうなずいた。

「お爺さん、案内をお願いします」

宮原ミナミは白石成川に鍼を打ち、ひとまず容体を落ち着かせると、白石翁のそばへ歩み寄った。

白石翁は彼女をじっと見据える。眼差しには底知れぬ圧があった。世の荒波をくぐり抜けてきた目――人の腹の底まで見透かすような目。

旭日の薬が、本当に効いてくれればいいが。

彼の手元にある延命の薬は、薬性があまりにも強い。代償として、主要臓器に不可逆の損傷を残す。

命は繋げる。だがその後は、健常者よりもはる...

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