第169章

だが、宮原ミナミの次の言葉が、彼の胸のつかえをすっとほどいた。

「私が白石家に来た以上、白石若様を治さずに帰るつもりはありません」

白石源介はゆっくりと濁った息を吐き出し、両手で彼女の手をぎゅっと握りしめた。目の奥に、うっすらと水の膜が浮かぶ。

「白石源介、ここにて――鈴宮先生、命の恩人として心より感謝いたします!」

この瞬間の彼は、K市四大家族の当主ではない。ただの、子を案じる父親だった。

「恐れ入ります」

宮原ミナミは、周囲がよくするように舞い上がったりはしない。表情ひとつ変えず、淡々と言い切る。

「白石さん、ご安心ください。私は誰かに買われたりしません」

それを聞いた白...

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