第172章

津坂正博は彼女にウインクしてみせた。くっきりと二重の線まで見えるほどで、自分では「若くてお茶目」なつもりらしい。

「津坂のおじさんなんて呼ばないでくれよ。うちの崇介は君より年上だけどさ、俺は永遠の24歳、永遠に若いんだ!」

宮原ミナミは、思わず津坂幸音に同情の視線を向けた。

出てきてからもう数分。ずっとこの人が一人で喋り倒していて、彼女は口を挟む隙すらない。

母は短気で、来るなりガチャガチャと物に当たる。父は父でこれだ。――頼りにならない。

どこの家にも、外からは見えない事情がある。

ミナミが何か言う前に、正博がまた畳みかけた。

「ミナミちゃん、今日の俺のコーデどう? また若返...

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