第174章

津坂崇介は逆光の中に立っていた。見えるのは、黒く沈んだあの目だけ。低く艶のある、生まれつき磁力を帯びた声が重なると、言葉そのものが底知れない影をまとって聞こえる。

「白石天祐は……まだ生きてる」

白石天祐が生きている限り、白石家は簡単には崩れない。

――とはいえ、もう八十を越えている。長くはない。

宮原ミナミは考え込むように小さく頷いた。白石家で「そら様」という呼び名を耳にしてから、こっそり調べてみたのだ。白石のお爺さんの本名は、白石天祐。

名前に「天」が入っている。だから「そら様」と呼ばれていても不思議ではない。

津坂崇介の言い方は曖昧だったが、ミナミには意味が分かった。

白...

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