第178章

宮原ミナミは一瞬きょとんとした。相手が勘違いしていると気づき、口を開く。

「私も……」

言い終える前に、中年の男が見下ろすように手を振って遮った。人を笑うような、尊大な態度。

「最近の若い子はねえ。勉強もしないで、変な駆け引きばっかり覚えて。しおらしく取り入れば男の心が掴める、とでも思ってるのか?」

身に覚えのない罵倒に、宮原ミナミの顔から温度が消えた。

男の声はやたらと大きく、ロビーを行き交う人間の耳を引き寄せる。通りがかった客が足を止め、面白がって輪ができていく。

日本人はこういうところがある。騒ぎがあれば、あっという間に人だかりだ。

フロントは異変に気づくや、揉め事になる...

ログインして続きを読む