第201章

古川フニは両腕を抱えたまま窓辺にもたれ、しばらく外を眺めていた。濃霧はまだ晴れず、天地の境目さえ曖昧で、世界は白く滲んでいる。

ふいに、彼女は笑った。瞳の奥で、獣じみた鋭い光がぎらりと跳ねる。

(私はね、けっこうケチなの。機嫌を損ねたら――人の悲鳴が聞きたくなる)

――

時間がじわじわと流れ、雲の層を突き抜けた陽光が街へ差し込んだ。

宮原ミナミが転院したのは、そんな晴れやかな日だった。

新しい病院は、道端で間に合わせに入った前のところとは比べものにならないほど大きく、設備も最新だった。彼女に用意されたのは豪華な個室。冷蔵庫にテレビ、洗濯機まで揃っていて、付き添いが寝泊まりできる簡...

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