第207章

彼の話をした途端、当人に聞かれてしまった。

宮原ミナミはくるりと顔を背け、窓辺の花に見入る。花の向こうには、どこまでも澄んだ青空。適当にシャッターを切っても、そのままポスターになりそうな景色だった。

――ただ、きゅっと結ばれた唇の端だけが、彼女の居心地の悪さを少しだけ漏らしている。

「兄貴!」

津坂幸音が目をくるりと回し、からかうように言った。

「さっきミナミお姉さん、兄貴のこと考えてたよ」

宮原ミナミの胸がひゅっと縮む。けれど反応は早かった。口元に笑みを含ませ、困ったように幸音を見る。

津坂崇介は眉をわずかに動かし、反射的にミナミへ視線を向けた。彼女の表情はどこまでも穏やかで...

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