第215章

田村登はふいに視線を逸らした。案の定、隣の別荘の門の前にスーツケースがひとつ置かれている。

「宮原ミナミ、鍵、忘れたのか?」

――なんで荷物だけ置いて、入らないんだ。

隣に立つ成山恭子が、宮原ミナミを上から下まで値踏みするように眺めた。どこか引っかかる、妙な目つき。

その口ぶりが気に障り、宮原ミナミは眉を寄せる。

「今、帰ってきたところ。デリバリーが着いたら、一緒に入る」

門からリビングまで、地味に距離がある。わざわざ歩く気になれなかった。

田村登は申し訳なさそうに笑った。

「ごめん。秋美にはファンが多くてさ……中には暴走して、住んでる場所まで突き止めた奴もいた。驚かせられた...

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