第222章

それにしても――あんな前触れもなく取り乱されたら、宮原ミナミだって疑い始める。

この人、本当に精神の病で幻覚を見ているんじゃないか、と。

芸術家のことなんて、素人には正直よく分からない。

「……本当?」

谷宮秋美は乱れた前髪の隙間から、縋るような目でミナミを見上げた。

まるで、最後の命綱に手を伸ばすみたいに。

その視線に、ミナミの胸がふっと柔らかくなる。

前世、絶望の底で抜け出せず、誰かに手を差し伸べてほしいと祈っていた自分が重なった。

この瞬間だけ、二人の輪郭が溶け合った気がした。

「もちろん」

宮原ミナミは身をかがめ、彼女の髪を丁寧に整える。さらに櫛を取り出し、ゆっく...

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