第225章

白石成川は両手をぱっと広げ、肩をすくめた。

「実はさ、俺――神様とは一言も話してないんだ」

神様は彼の容体を落ち着かせると、そのまま白石家を去った。何ひとつ、置き土産もなく。

あのときの彼は人工呼吸器を付けたまま。口を開く余地なんて、そもそもなかったのだ。

……そんなに謎めいてるのか。

それを聞いた坂村裕樹も、この話題を深追いしなかった。ぎこちなく話を切り替え、ようやく本題に入る。

「上から、この件を俺に回してきた。お前に状況を聞きたい」

白石成川が生死の境をさまよった、国道で起きた人身売買事件のことだ。

白石成川の表情が引き締まる。

「書斎へ」

今度は坂村裕樹が使用人の...

ログインして続きを読む