第25章

売り手の話では、これはJ市で仕入れた品だった。最初にそれを持ち込んだのは夫婦で、身なりはごく普通。どう見ても金に困って、家の物を泣く泣く換金しに来た――そんな風だったという。

血瑪瑙の質は悪くない。彼は数万円で買い取った。

その話を聞いた津坂崇介が、じっとしていられるはずがなかった。その日のうちに闇市の売り手を連れてJ市へ向かったのだ。今もその売り手――羽岡平は、後ろの車に乗せてある。

「鈴宮家の状況は?」

武井景二郎は体をひねって後方をうかがい、崇介の表情が平静なのを見て、かえって判断に迷った。胸の奥がざわつく。

「鈴宮家は家族構成が単純です。羽岡春香と鈴宮嘉太郎は結婚して三年、...

ログインして続きを読む