第32章

その翡翠の飾りは、彼女が和装で宴に出るときのために誂えていた小物だった。けれど肝心の着物は、もう二、三年も袖を通していない。

そもそも彼女が持つ宝飾品は多くない。大切にしているものを換金しろと言われても――正直、手放したくなかった。

――

宮原ミナミは汗だくのままグローブを片づけ、さっとシャワーを浴びる。柔らかな部屋着に着替えると、机に腰を下ろし、母の遺した医理の書を開いた。

その本は、田舎の福祉施設から持ってきたものだ。ずっと誰にも見つからないように隠し、毎晩欠かさず目を通してきた。

けれど今日は、ただ読むだけでは終わらない。

――調合してみよう。

宮原江太郎から渡された金を...

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