第48章

彼女の胸をいちばん高鳴らせたのは、やはり「一フロア一戸」という造りだった。隣人はいない。上下階の住人と廊下ですれ違うこともなく、出入りを他人に見られる心配もない。

見れば見るほど気に入って、その場で購入を決めた。

営業担当の男は歯を見せて笑いながら言う。

「こちらは総額で1,200万円になります。宮原さん、お支払いは一括で――」

「一括で」

宮原ミナミはカードを差し出した。

男は両手で受け取り、すぐにブリーフケースから売買契約書を取り出し、端末を用意する。手続きは20分もかからず終わった。

「宮原さん、これで本日からこちらのお部屋は宮原さんのものです。後日、名義変更の手続きで登...

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