第52章

木田平人は一瞬きょとんとして、苦笑した。

「他に何があるっていうんですか。梅子が子どもを産みましたし……働いて、養わないと」

本来の気性なら、旭日製薬にきっちり落とし前をつけさせて、絶対に引き下がらなかっただろう。

けれど――彼には、妻と子がいる。

意地を張って一口の勝ち負けを争ったせいで、家族まで苦しませるわけにはいかない。

悔しい。だが、どうしようもない。

今の彼は一文無しで、入院費だって宮原さんが立て替えてくれている。

医薬業界ではもうやっていけない。だが人間は生きている限り、別の業界で働く道はいくらでもある。

ただし、給料は以前ほど望めない。

「……もう仕事は見つか...

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