第53章

空は金色の陽光にじんわりと染まり、そよ風が、ほとんど体温に近いぬくもりを含んだ日差しを、机に向かってペンを走らせる少女の頭上へそっと落としていた。

陽に照らされた頬は透けるように白く、産毛の一本一本までくっきりと浮かぶ。

艶のある黒髪も、どこか蜂蜜色の膜をまとったみたいに柔らかい。

机の上には問題集と模試の束が山のように積まれていた。

日差しはちょうどよく、風は味方。

夢へ向かって進むには、これ以上ない日だ。

宮原ミナミが、問題を解く手を止められないほど没頭していたそのとき。

津坂崇介から電話が入った。

「津坂崇介だ。覚えているか」

受話口の向こうから、低く、艶のある声が落...

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