第64章

小崎主任はこめかみを揉んだ。甲高い声に耳の奥がじんじん痛む。困ったように肩をすくめる。

「佐藤先生、落ち着いてください。A組に期待してるのは分かります。でも、今回の試験問題を作ったのは……A組の担当教科の先生方と、三年生の学年主任でしょう? 解答を持ってるのは、そのお二人だけで……」

――もし本当に答えが漏れたのだとしたら、疑うべきはそのどちらかだ。

佐藤理子は言葉に詰まった。学年主任は副校長でもある。そんな相手を、彼女が疑えるはずがない。

かといって、自分が漏らしたわけでもない。

じゃあ、F組が自力で解いたっていうの?

そう考えた瞬間、佐藤理子は掌に力を込め、答案用紙をぐしゃりと...

ログインして続きを読む